不動産業界というのは小難しい法律やルールが多く、入居者は「どこがぼったくられポイントなのか?」「どの料金は法律やルール上交渉の余地があるのか?」を毎回手探りで検索したり交渉していると思います。
この記事では、賃貸不動産経営管理士試験の知識範囲から分かる、賃貸契約の入居者側から交渉するポイントについてまとめました。
賃貸契約時の交渉ポイントとして、法律やルールの裏付けがある交渉ができると、かなり強いカードになると思いますので、参考にしてもらえたら幸いです。
仲介手数料(媒介報酬)について
一ヵ月あたりの家賃の半額以上(消費税含めて0.55倍以上)を請求されていませんか?
賃貸契約の仲介業者は、入居者から受け取れる仲介料の上限は、月額家賃の半額までと決まっています。
ただし、入居者の承諾を得ている場合は、最大で1か月分の家賃額(消費税含めて1.1か月分)まで仲介料として受け取ることができるようです。
契約の時に、さらっと流して同意させられていませんか?ここ交渉ポイントですよ。
ちなみに僕はこれまで「仲介料安くならないっすか?あぁ無理っすか..」と軽く聞いて無理ならすぐあきらめて同意していました。
「入居者が承諾しなければ、仲介料は月額家賃半額で済む交渉ができる」ということです。
仲介業者は、仲介手数料を入居者と物件オーナーの双方からもらうものです。これを知識のない入居者へ全て負担してもらうことで、仲介業者は物件オーナーへ仲介手数料を交渉する手間を省略している感じですね。
もしも、仲介手数料を交渉した時に、仲介業者が合意しない場合は、他の仲介業者か物件管理業者と直接契約しに行く選択ができます。物件選び手伝ってくれた手前あまり気持ちよくないですが、仕方ないですね。
裏付けの法律など
1. 公益社団法人 全日本不動産協会
2. 建設省告示第1552号(報酬規程)第4)
3. 宅建業法46条2項
火災/家財保険の契約について
紹介された保険にそのまま入ってませんか?保険は自分で選べますよ?
そもそも賃貸契約と保険契約は別の契約なので、特定の会社との契約を指定することは難しいです。
その上で賃貸契約時に、火災保険や家財保険に入ることを条件とした契約が多くあります。契約によっては、物件オーナーが指定する保険に加入することを契約条件としていることがあるかもしれないですが、基本的には同一補償内容の保険を自分で選択できるはずです。
保険は自分で選びましょう。よくわからないまま保険契約してしまうと、相場の2倍くらい高い保険だったり、一人暮らしで家具家電もほぼ持っていないのに家具家電1000万円補償とか過剰すぎる保険に入らされているかもしれないです。固定費を抑えましょう。
余談ですが、家賃債務保証会社については、契約で指定された場合は入居者側が選択することは難しいようです。(家賃債務保証会社とは、家賃不払い時に一時的に家賃建替え払いしてくれる保証会社です。)
裏付けの法律など
1. 家財保険とは?
電気/ガス/通信の契約について
自分で選べますよ?(2度目)
こちらも保険と同じで、本来なら入居者が自由に選べるのですが、言葉巧みに指定された業者と契約しなければいけないように誘導される危険があります。もちろん電気/ガス/通信ともに地域で対応している業者しか選べないのですが、言われるがままに契約してしまうと危険です。特に電気自由化によって電気業者は多くの有象無象が増加しました。通信業者も同様です。
きちんと自分で調べて、自分の条件に合う業者と契約しましょう。
礼金について
原状回復の特約について
特約成立には入居者の義務負担意思表示がされていることが必要です。
特約が成立する要件は以下3点が必要です。
①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
②借主(入居者)が特約によって津城の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③借主(入居者)が特約による義務負担の意思表示をしていること
このうち、暴利的である、いわゆるぼったくりである基準は、最高裁の判例から見ると月額家賃の3倍以上のようです。もしも敷金、特約の事前明示金額が月額家賃の3倍を超える場合には、確実に交渉した方が良いでしょう。
それ以下の場合でも、とりあえず交渉してみたい人は試してみてもよいかもしれないです。ただし、交渉するなら面倒くさい客になる覚悟をしてください。
交渉手順としては、
- 特約の「必要性」の説明を求めてください。
- 次に価格を明示させてください。具体的に物件の壁紙面積、床面積、鍵、ガラス、清掃の費用などを列挙させてください。
- もしも無理だと言われたら、似た物件で事例(具体的な金額)を挙げてもらってください。
- 納得しなければ、合理性がないとして特約が成立しないかもしれないと匂わせて、物件オーナーに交渉してみてください。
ただし、交渉しても物件オーナーが条件を飲まない場合は、交渉決裂となります。その特約を認めてでも入居したい場合には、特約を含めた契約を飲むこととなります。
原状回復については、新築やリフォーム直後であっても、入居時に床傷/柱傷/壁汚れ/床軋み/ドア枠歪み/窓際日焼け/窓際の水回りカビ/電気ガス水道換気系の動作/etcなど入念なチェックと写真や動画による証拠集めは重要になってきます。たとえ新築やリフォーム直後でも、施工業者によっては雑な仕上がりになっており、その責任を入居者が持たされる可能性もゼロではありません。
入居時の鍵交換の費用について
入居時の鍵交換の費用は、物件オーナーが負担することが妥当です。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にて明記されています。
しかしながら、「妥当」とあるように、実際の不動産業界では入居者負担とする例の方が多いようです。
こちらは交渉がうまくいく可能性は低めとみておいた方が良いかもしれないです。
裏付けの法律など
1. 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」